経営者が今すぐ決断すべき「お断りする案件」の採算設計学

「今期は過去最高の売上を達成した」——そう数字を読み上げながら、心の中では冷や汗をかいているプロジェクトビジネスのオーナーや事業責任者は少なくありません。売上は伸びているのに、なぜか手元に利益が残らない。

この歪みの原因は、現場のデリバリー(実行)フェーズにはありません。営業活動における「案件の取り方」そのものにあります。

多くのプロジェクト型組織において、営業と現場は完全に分断されています。営業は売上目標を達成するために、獲れる案件を、獲れる金額でとにかく受注してくる。現場の体制や利益率のシミュレーションは二の次です。

結果として待っているのは、経営ではなく、ただの「自転車操業」です。

「何でも受注する」が組織を内部崩壊させるメカニズム

難易度に対して単価が低すぎる案件、あるいは自社のリソース状況を無視した案件を受注すると、組織は以下のスパイラルで確実に摩耗していきます。

  1. エースの強制投入: 無理な案件を成立させるため、現場の「一番優秀なエース」を火消しとして投入せざるを得なくなる。
  2. 限界利益の消滅: エースの工数が想定外のトラブルに吸われ、追加の原価が発生。当初見込んでいた薄い利益すら完全に溶ける。
  3. 組織全体の成長ストップ: エースが火消しに追われることで、若手の育成や新規事業といった「未来の投資」に割くリソースが完全に消滅する。

売上目標という部分最適な数字を追いかけた結果、全社の営業利益と組織の未来をドブに捨てる。この構造を止めない限り、どれだけ精緻な工数管理や予実管理のツールを導入しても意味がありません。

経営とは、売上を増やすことではなく「意志を持って案件を選ぶ」ことです。

営業フェーズで「自社が勝てる編成」を逆算する

本当の「攻めの経営」とは、自社のリアルなリソースと限界利益を天秤にかけ、「いま、どの案件を、いくらで、誰をアサインする前提で獲るべきか」を提案段階で狙い澄ますことです。

  • 自社のメンバーのスキル、現在のリアルな稼働状況、そして本音のキャリア意向。これらを総合したとき、次に獲得すべき最適な案件の「条件」は何なのか。
  • どの案件を、どんなプライシングで獲得すれば、現場を潰さずに全社の利益率を最大化できるのか。

これらを、営業担当者の勘や「獲れるから獲る」という慣性ではなく、データとAIを使ってコントロール可能な状態にします。

AI採算設計クラウド『CATCAREERアサインメント』が提供するのは、単なる受注後の人員パズルではありません。営業が引き合いを持ってきたその瞬間に、バックエンドのAIが未来の経営ポートフォリオをシミュレーションします。

「いまこのメンバーの組み合わせで、この単価で受注すれば、限界利益は35%になる。しかし、メンバーの成長と離職リスクを考慮するなら、この単価交渉をするか、あるいは別ルートで打診が来ているこちらの案件を優先して獲るべきだ」

こうした判断を、提案・営業フェーズの段階で瞬時に弾き出します。自社のキャパシティと利益から逆算し、勝てる戦いだけを自ら選んで仕掛けにいく。これこそが、形骸化した管理を終わらせるトップラインの設計学です。

素材からレシピを「提案する」側へ

これまでの「獲れた案件に人を無理やりあてはめる」組織から、「組織のリアルな実力と成長から逆算して、獲るべき案件を言語化して提案・受注する」組織へ。

アサイン管理の手前にある「案件のとりかた」を科学し、意志を持ってお断りすべき案件を定義すること。それによって初めて、経営者は暗闇の飛行から脱却し、自らの組織を自らの手でコントロールする「操縦桿」を取り戻すことができます。

数字の奥にある現場の息遣いを感じ、自社が本当に輝くプロジェクトだけを狙い澄まして獲得する。テクノロジーを駆使した、最も人間味のあるリアルな経営設計を、ここから始めましょう。

FAQ

売上は伸びているのに利益が残らないのはなぜですか?

原因は現場の実行フェーズではなく、営業段階の「案件の取り方」にあります。獲れる案件を獲れる金額で受注し、体制や利益率を後回しにすると、エースの強制投入と原価増で限界利益が消滅します。

工数管理や予実管理のツールを導入しても改善しないのはなぜですか?

受注後の管理をいくら精緻にしても、採算の合わない案件を受注している構造そのものは止められないからです。提案・営業フェーズで「獲るべき案件」を採算から逆算する必要があります。

「お断りすべき案件」はどう見極めればよいですか?

自社のスキル・稼働状況・キャリア意向と限界利益を突き合わせ、現場を潰さず全社の利益率を最大化できる案件・単価かを提案段階で判断します。条件に合わない案件は意志を持って断ります。