カーナビは「走ってきた道」を示さない。1on1が機能不全になる構造的理由

1on1を制度として導入している組織は多い。だが運用の実態は、ほとんどが同じ形に収束している。月一回、30分、「最近どう?」で始まる近況確認だ。私が10年以上体験してきたことだ。

進行中のタスクの進捗を聞く。困りごとがないか確認する。「特にないです」で終わる。「引き続きよろしく」で締める。来月もまた「最近どう?」から始まる。半年続けても、その部下が来月どの案件に向かい、半年後にどのスキルとポジションへ立つべきかが設計された形跡は残らない。残るのは「面談を実施した」という事実だけだ。

30分はすべて「過去」に使われている

1on1が近況確認に化けるのは、担当者の怠慢ではなく時間配分の構造的な帰結だ。

  • 前半は、近況とタスク進捗の確認。
  • 中盤は、目下の困りごとのヒアリング。
  • 後半は、「何かあれば言って」の目線合わせ。

30分のほぼ全量が、すでに起きたことの確認に充てられる。 先月の現在地を口頭で再構築するだけで時間が尽き、来月どの道で進むかを決める段階に入れない。困りごとを丁寧に聞くマネージャーほど、この配分から抜けられない。

カーナビは走ってきた道を示さない。示すのはこれから向かう先だ。1on1の多くはその逆をやっている。

現在地の把握に、人間の30分を使う必要はない

未来の設計に入れない理由は単純で、現在地の把握をすべて口頭ヒアリングでまかなっているからだ。

部下がどの案件にどれだけ稼働しているか。負荷は限界か余裕か。前回口にしたキャリア意向は、今のアサインと噛み合っているか。これらは面談前に判明していてよい情報であって、30分を割いて聞き出すべき議題ではない。問題は、多くの組織でこの現在地が可視化されていないことだ。だからマネージャーは毎回ゼロから現在地を聞き直す。

AI採算設計クラウド『CATCAREERアサインメント』は、この現在地を面談の前に揃える。

鍵は、現在地を上司が聞き出すのではなく、メンバー自身に先に言語化してもらう点にある。どの案件にどれだけ入ったか、何のスキルが身についたか、次に取り組みたいことは何か——マイハイライト機能が、その棚卸しをAIの支援で構造化データにまとめる。書くのに時間はかからない。

面談が始まる時点で、稼働・案件・キャリア意向は卓上に乗っている。本音の意向と今のアサインがどこでズレているかも、ひと目で見える。

現在地が共有済みなら、30分の使い道は変わる。「今の案件はあと2ヶ月で区切る。次は希望に近いこの案件が提案に乗っている。そこへ向けて来月この技術を一つ潰す」——こうした来月の具体的な一手に時間を使える。1on1は近況確認ではなく、次のアサインを設計する場になる。

決めるのは、先月の評価ではなく来月の道順だ

過去の確認は機械に任せ、人間は来月の設計に時間を使う。効率化の話ではない。1on1という時間の議題を、過去の答え合わせから来月のアサイン設計へ入れ替える話だ。

部下が知りたいのは先月の評価ではない。来月どの案件で何を伸ばすかだ。それを決められない面談をいくら重ねても、配置の精度も本人の納得も上がらない。1on1は近況を確認する時間ではない。来月の道順を決める時間だ。

FAQ

1on1をやっているのに部下のことが分からないのはなぜですか?

30分の大半が近況とタスクの確認、つまり「すでに起きたこと」の把握に消えているからです。現在地の確認で時間を使い切ると、来月どこへどう向かうかという未来の設計に辿り着けません。

1on1を有意義にするにはどうすればよいですか?

現在地(稼働状況・案件・キャリア意向)の把握を面談の前に済ませることです。誰がどの案件にどれだけ入り、本音の意向と今のアサインがどこでズレているかを事前に可視化すれば、30分をまるごと未来の航路設計に使えます。