組織マネジメント
タレントマネジメントがプロジェクト組織に利益を生まない理由
数百万円をかけてタレントマネジメントシステムを導入した。全社員のスキルを5段階で入力し、立派なスキルマトリクスが完成する。導入を主導した人事は誇らしい。これで人材の最適配置ができる、と。
半年後、新しい案件の編成を決める会議。マネージャーが開くのは、そのシステムではない。Slackに「この領域、いますぐ動ける人いる?」と投げ、返ってきた名前で決める。完成したスキルマトリクスは、編成の場で一度も開かれない。
人材を立派に並べれば最適なアサインができる。この前提が、そもそも間違っている。問題は機能でも運用でもない。そのシステムが、あなたの組織とは別の種類の会社のために作られている。
タレントマネジメントは「変化しない会社」を前提にしている
タレントマネジメントシステムは、もともと事業の形が安定した会社のために生まれた。部署と役割が固定され、人の配置がそう頻繁には変わらない組織。そこでは「全社の人材を棚卸しし、組織全体として最適に配置する」という発想が成立する。配置の最適解が、年単位でしか動かないからだ。
その前提のもとでは、スキルを一覧化して組織図に当てはめる道具は理にかなっている。組織を主語に、一度きれいに配置すればしばらく持つ。
プロジェクト型組織は、その前提を毎月裏切る
だが、プロジェクト型組織はまるで違う。
常に複数の案件が同時に走る。クライアントが違えば求められる動きが違う。同じ案件でも、立ち上げと佳境と納品直前ではまったく別の体制が要る。最適な配置は組織の都合ではなく案件の都合で、月単位どころか週単位で変わり続ける。
この環境で「組織全体の最適配置」を一度決めても、翌月にはもう古い。TMSが機能しないと感じるとき、起きているのはこのズレだ。具体的には3つの形で表に出る。
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スキルデータが追いつかない。 案件ごとに求められる力が変わるのに、スキルは年一回の自己申告で止まっている。更新の動機も仕組みもないまま、データは入力した瞬間から古びる。死んだデータで最適配置を計算しても、答えは死んでいる。
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案件と切り離されている。 TMSが持つのは人の側の情報だけだ。だが編成は「この案件を、この納期と単価で完了させるには誰をどう組むか」という、案件と人の掛け算で決まる。案件側と地続きでなければ、その掛け算は起きない。
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過去の管理が目的になっている。 TMSは実績を記録し人を格付けする、過去向きの道具だ。だが編成は、これから始まる案件に向けた未来の行為だ。過去を管理する設計で、未来は設計できない。
3つは別々の不具合に見えて、根は一つだ。組織を主語に最適化する道具を、案件を主語に動く組織へ当てはめている。 食い違っているのは、最適化の単位そのものだ。
組織最適化ではなく、案件ベースの最適化へ
プロジェクト型組織に要るのは、組織全体の静的な配置最適化ではない。案件ごとに、その都度かける動的な編成最適化だ。
AI採算設計クラウド『CATCAREERアサインメント』は、最適化の単位を組織から案件へ移す。案件の完了形・納期・採算から逆算し、いまの人材で組める最良の編成をAIが後押しする。出てくるのは人材の一覧ではなく、その案件のための編成案だ。
前提となるスキルデータも、案件の速度に合わせて生かす。スキルや実績の言語化をAIが支援し、書くほど本人の自己効力感が上がる。更新が評価のための作業ではなく、自分の現在地を確かめる行為になる。だからデータは毎月生き返り、案件の変化に追いつく。
タレントマネジメントの手前で、案件単位の編成を利益から組み立てる。管理ではなく、未来設計だ。
FAQ
タレントマネジメントシステムがプロジェクト型組織で機能しないのはなぜですか?
TMSは事業の形が安定した会社を前提に、組織全体として人材を最適配置する道具だからです。常に複数案件が同時に走り、クライアントもフェーズも毎回異なるプロジェクト型組織では、最適な配置が週単位で変わり続け、組織全体の静的な最適化は意味を失います。
プロジェクト型組織に必要な最適化とは何ですか?
組織全体の静的な配置最適化ではなく、案件ごとのアジャイルな動的編成最適化です。案件の完了形・納期・採算から逆算し、いまの人材で組める最良の編成を案件単位で設計します。前提となるスキルデータも案件の速度に合わせて更新し続ける必要があります。