なぜ優秀な人材を採用しても成果が出ないのか

優秀な人材を採用しても成果が出ないとき、原因は採用の質ではなく、採用後の配置にあることが多い。採用は能力を組織に入れる工程だが、その能力が利益という成果に変わるのは、どの案件にどう配置するかで決まる。配置が能力と案件をかみ合わせていなければ、優秀さは発揮されないまま人件費だけが出ていく。

人材活用の課題に直面すると、解決策を採用に求めがちだ。基準を上げる、もっと採る、即戦力を狙う。だが成果不足の原因が配置にあるなら、人を増やしても同じ構造で運用されるだけで、増えた人材も活きない。問題は入口ではなく、入口の後にある。

この記事の要点

  • 優秀な人材を採用しても成果が出ないとき、原因は採用の質より採用後の配置にあることが多い。
  • 採用は能力を組織に入れる入口、配置はその能力を成果に変える出口だ。出口がなければ採用は成果に届かない。
  • 人材活用の課題を採用で解こうとすると人件費だけが膨らみ、活用の課題そのものは残る。
  • 採用後に成果が出ない原因は、配置ミスマッチ・スキルの不可視・エース集中・育成名目の赤字配置に整理できる。
  • 採用と成果のギャップを埋めるのは、能力を案件への配置を通じて利益に変換する設計、すなわち採算設計である。

なぜ採用しても成果が出ないのか

採用は、能力を組織の中に入れる工程だ。だが能力が組織に入ったことと、その能力が成果を生んだことは、別の出来事である。ここに、採用と成果のあいだの断層がある。

人材の能力は、それ自体では利益を生まない。能力が利益になるのは、案件に配置され、その案件で成果を出したときだ。同じ能力を持つ人材でも、能力が活きる案件に置けば成果が出るし、合わない案件に置けば、どれだけ優秀でも発揮の場がない。採用で入れた能力が成果に変わるかどうかは、採用の瞬間ではなく、配置の瞬間に決まる。

だから「優秀な人を採ったのに成果が出ない」という状況の多くは、採用の失敗ではない。採った能力を成果に変換する配置が、設計されていないだけだ。入口で良い人材を入れても、出口で活かせなければ、能力は組織の中で眠る。

採用は能力を入れる入口にすぎない。その能力を成果に変えるのは、案件への配置という出口である。

人的資本がなぜ保有しているだけでは価値にならず、配置で価値が決まるのかは人的資本経営と人材配置の関係。価値は配置で決まるに整理した。採用で入れた人材も、この同じ構造の中にある。

人材活用の課題を「採用で解く」か「配置で解く」か

人材活用の課題に対して、打ち手の置き場所は二つに分かれる。採用で解こうとするか、配置で解こうとするか。どちらを選ぶかで、投じる資源も結果も変わる。

採用で解く発想は、成果不足を人の不足ととらえる。成果が出ないのは人が足りないから、あるいは人の質が足りないからだと考え、増員や採用基準の引き上げで対処する。これは人を増やせば成果も増える、という前提に立っている。

配置で解く発想は、成果不足を持っている人材の使い方の問題ととらえる。すでにいる人材が活きていないなら、人を増やす前に、誰をどの案件にどう組むかを変える。能力の総量ではなく、能力と案件のかみ合わせを問う。

観点採用で解く発想配置で解く発想
成果不足の捉え方人や能力が足りない持っている人材が活きていない
主な打ち手増員・採用基準の引き上げ・即戦力採用案件への配置と編成の設計
変える場所入口(誰を入れるか)出口(入れた人をどう使うか)
主なコスト採用費・新規の人件費既存人材の配置を見直す手間
原因が配置にある場合人件費が増え、活用の課題は残る増員せずに成果が改善する余地がある
帰結入れた人材も同じ構造で眠る同じ人材から残る利益が変わる

二つは排他ではない。本当に人が足りない局面では採用が要る。だが成果不足の原因が配置にあるとき、採用で解こうとすると、増えた人材も同じ配置構造で運用されるため活きない。人件費だけが膨らみ、活用の課題は手つかずで残る。人件費が増えても利益が残らない構造は売上は増えても利益が残らない会社に共通する構造に書いた。

採用で解けるのは「人が足りない」課題だけだ。「いる人が活きていない」課題は、何人採っても採用では解けない。

採用後に成果が出ない4つの原因

採った人材が成果に届かないとき、配置と運用の側に共通する原因がある。代表的な4つを、放置したときに何が起きるかと並べて整理する。各原因の詳しい論点は既存の記事に委ねる。

原因何が起きているか放置すると
配置ミスマッチスキルと案件がかみ合わない配置で能力が発揮されない優秀さが眠り、案件は手戻りで利益が薄くなる
スキルの不可視誰が何をできるか分からず勘で配置される適材が見つからず、合わない案件に置き続ける
エース集中案件が特定のエースに偏り新規人材に出番がない採った人材が育たず、エース依存が深まる
育成名目の赤字配置育成を理由に赤字案件へ置き、採算と区別されない育成案件は赤字という構造が固定する

四つは別々の不具合に見えて、根は一つだ。採った能力を案件の採算と結びつけて配置する設計が、抜けている。配置を作業として処理すると、これらの原因は見えないまま積み重なる。

配置ミスマッチを含む利益を下げる配置の類型は制作・コンサル会社で案件利益率を下げる配置ミス4類型に、スキルが合う配置と利益が残る配置の違いはスキルベースアサインとは。案件成功確率で配置する編成設計に詳しく書いた。本記事はその手前、採用と成果のギャップそのものに焦点を当てている。

採った人材が成果に届かない原因は、採用の精度ではなく、能力を案件採算に結びつける配置設計の不在にある。

採用と成果のギャップは、配置で埋まる

ここまでをつなぐと、採用と成果のあいだに横たわるギャップの正体がはっきりする。採用は能力を組織に入れるところまでしか担えない。その能力が利益という成果に変わるのは、案件への配置を通じてだ。両者のあいだに配置という変換工程がなければ、どれだけ良い人材を入れても、成果には届かない。

だからギャップを埋める鍵は、採用の精度をさらに上げることではない。採った人材の能力を、どの案件に誰をどのグレードで組めば成果と採算が両立するかという形で、配置に落とすことだ。誰が何をできるかを最新に保ち、案件ごとに利益が残る編成を受注前に判断する。採用という入口と、利益という出口が、配置でつながって初めてギャップは閉じる。

この受注前に配置で採算を見通す一連の意思決定をまとめて行う考え方を、採算設計と呼ぶ。

採用と成果のギャップは、より良い人材を採ることでは埋まらない。採った人材を、利益が残る案件に配置する設計で埋まる。

採算設計を実務に落とす手法を、CATCAREERは アサインメントデザイン™ と呼ぶ。可視化したスキルと稼働、案件の採算をひとつの画面で結び、誰をどう組めば利益が残るかを受注前に組み立てる。その手法を実装した採算設計クラウドが『CATCAREERアサインメント』だ。採用で入れた人的資本を配置で現金に変える経路は人的資本経営を現金に変える「人材配置」と採算設計に展開した。

採用は、成果づくりの始まりであって終わりではない。良い人材を入れても、その人を活かす配置を設計しなければ、成果は出ない。見るべき場所は、誰を採るかの手前ではなく、採った人をどこに置くかの先にある。

FAQ

優秀な人材を採用しても成果が出ないのはなぜですか?

採用した人材を、その能力が活きる案件に配置できていないことが多いからです。採用は能力を組織に入れる工程ですが、成果はその能力をどの案件にどう置くかで決まります。配置がスキルと案件をかみ合わせていなければ、優秀さは発揮されないまま人件費だけが出ていきます。成果が出ない原因は採用の質ではなく、採用後の配置にあることが多いのです。

人材活用の課題を採用で解決できますか?

多くの場合、解決できません。成果が出ない原因が配置にある場合、人を増やしても同じ配置構造で運用されるため、増えた人材も活きないからです。採用で解こうとすると人件費だけが膨らみ、活用の課題は残ります。人材活用の課題は、誰を入れるかではなく、入れた人をどの案件にどう置くかという配置の問題として解く必要があります。

採用後に成果が出ない原因にはどんなものがありますか?

代表的なものに、スキルと案件がかみ合わない配置ミスマッチ、誰が何をできるか分からないスキルの不可視、特定のエースに案件が集中して新規人材が育たないエース集中、育成名目で赤字案件に置き続ける配置の4つがあります。いずれも採用の質とは別の、配置と運用の問題です。放置すると採用しても成果が出ない状態が続きます。

採用で解く発想と配置で解く発想は何が違いますか?

課題の置き場所が違います。採用で解く発想は、成果不足を人の不足ととらえ、増員や採用基準の引き上げで対処します。配置で解く発想は、成果不足を持っている人材の使い方の問題ととらえ、誰をどの案件にどう組むかを設計します。前者は入口を変え、後者は入口の後の運用を変えます。多くの成果不足は後者で解けます。

採用と成果のギャップを埋めるにはどうすればよいですか?

採用した人材の能力を、案件への配置を通じて利益に変換する工程を設計することです。誰が何をできるかを最新に保ち、どの案件に誰をどのグレードで組めば成果と採算が両立するかを受注前に判断します。採用は能力を入れる入口、配置はその能力を成果に変える出口です。出口を設計して初めて、採用と成果のギャップは埋まります。

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