リソース管理とアサイン管理の違い。利益が生まれる配置とは
リソース管理は「誰がどれだけ空いているか」を管理して空き工数を埋める発想、アサイン管理は「誰をどの案件にどう組めば成果と利益が出るか」を設計する発想だ。両者は管理対象が違う。リソースを埋める発想だけでは稼働は埋まっても利益は生まれない。利益は、案件に対して人を設計するアサイン管理の側から生まれる。
リソース管理とアサイン管理は、近い言葉として並べて語られる。だが片方は人の空き時間を扱い、もう片方は案件と人の組み合わせを扱う。この管理対象の違いが、稼働は埋まるのに利益が出ない、という現象の根にある。3語(キャパシティプランニング・リソース管理・アサイン管理)の厳密な使い分けは別記事に譲り、本記事は2つの発想の差と、利益への効き方に絞る。
この記事の要点
- リソース管理とは、誰がどれだけ空いているかを管理して空き工数を埋める発想だ。管理対象は人の空き時間。
- アサイン管理とは、誰をどの案件にどう組めば成果と利益が出るかを設計する発想だ。管理対象は案件と人の組み合わせ。
- 利益はアサイン管理の側から生まれる。リソースを埋める発想だけでは、稼働は埋まっても利益は残らない。
- リソース管理ツールは在庫を可視化する箱で、利益が出る組み合わせを解く道具ではない。
- 利益が生まれるアサインを受注前に設計することが、採算設計だ。
3語の用語整理(各語が指す範囲・粒度・時間軸)はキャパシティプランニング・リソース管理・アサイン管理の違いにまとめた。本記事はそこから一歩踏み込み、リソース管理とアサイン管理を「発想」として対比し、どちらから利益が出るかに答える。
なぜリソースを埋めても利益が出ないのか
リソース管理は、人を在庫として扱う発想だ。誰がいつ空くかを可視化し、空いた工数を案件に割り当てて、遊休をなくす。倉庫の空き棚を埋めるのと構造は同じで、問いの立て方は「この人の空きをどこに入れるか」になる。
この発想で配置を続けると、空いた人を手近な案件に入れる判断が積み重なる。稼働率は上がる。だが空きを埋める基準は「埋まるかどうか」であって「いくら残るか」ではない。薄利の案件に人を入れても空きは埋まり、稼働率は100%に近づく。その時間は人件費という現金を消費しているのに、限界利益はほとんど残らない。
空き工数を埋める発想には、利益という変数が一度も登場しない。 だから稼働は埋まるのに利益は伸びない。これは運用が雑だから起きるのではなく、リソース管理が最大化しようとしている対象が稼働であって利益ではない、という発想の構造から起きる。
利益から人を設計するには、問いを入れ替える必要がある。「この空きをどこに入れるか」ではなく「この案件に、誰をどう組めば成果と利益が最大になるか」。前者は人を起点にして案件を探し、後者は案件を起点にして人を組む。同じ配置作業に見えて、起点と最大化する対象がまるで違う。後者がアサイン管理だ。
リソース管理(箱を埋める)とアサイン管理(利益を作る)
2つの発想を、管理対象・問いの立て方・成功指標・利益への効き方・ツールでできること・帰結で並べると、線がはっきりする。
| 観点 | リソース管理(箱を埋める) | アサイン管理(利益を作る) |
|---|---|---|
| 管理対象 | 人の空き時間(在庫としての工数) | 案件と人の組み合わせ(布陣) |
| 問いの立て方 | この人の空きをどの案件に入れるか | この案件に誰をどう組めば成果と利益が出るか |
| 起点 | 人(誰が空いているか) | 案件(どの案件をどう勝つか) |
| 成功指標 | 稼働率・空き工数の平準化 | 案件成功確率・案件ごとの限界利益 |
| 利益への効き方 | 間接的。空きは減るが利益は最大化されない | 直接的。組み合わせを変えて限界利益を動かせる |
| ツールでできること | 誰がいつ空くかの可視化・割り当て | (在庫可視化だけでは届かない。下記参照) |
| 放置した帰結 | 稼働は埋まり利益は伸びない | 受注前に布陣と採算を握れる |
表の最後の2行が分岐点だ。リソース管理ツールが見せるのは在庫であって、利益が出る組み合わせの答えではない。在庫を埋める発想のまま高機能なツールを入れても、最大化される対象が稼働である限り、利益は間接的にしか動かない。
リソース管理ツールだけでは解けない3つのこと
リソース管理ツールは、誰がいつ空くかを見せる点では役に立つ。だが利益が生まれる配置を作るには、ツールが在庫を可視化するだけでは届かない領域が3つある。
- 配置を原価と限界利益に接続する。 リソース管理ツールは稼働時間を見せるが、その配置でいくら残るかは見せない。誰をどのグレードで入れると変動費がいくらになり、限界利益がどう動くかを案件単位でつなぐ仕事は、空きの可視化の外にある。
- 勝てる布陣を選ぶ。 空きを埋めるだけなら手が空いている人を入れれば足りる。だが案件の成果は、スキル・グレードミックス・相性・本人の意向で変わる。同じ空き状況でも、案件に勝てる組み合わせを選ぶ判断は、在庫を見せるツールの機能ではない。
- 受注前に採算を試算する。 リソース管理は受注後の運用を前提にする。だが案件の利益は、どの案件をいくらでどんな体制で受けるかを決める受注前にほぼ確定する。受注前に体制と単価を変えて限界利益を試算する仕事に、受注後の在庫管理は立ち会えない。
この3つは、ツールの性能を上げれば埋まるものではない。リソース管理は在庫を可視化する箱で、利益が出る組み合わせを解く道具ではない、という役割の違いから来ている。配置を稼働率ではなく限界利益から設計し直す目的関数の置き換えそのものについては人員配置の最適化とは。空きを埋めず利益を最大化するに書いた。
利益が生まれる配置を受注前に設計する
利益はアサイン管理の側から生まれる。では、そのアサインをいつ設計するか。受注後に空きを埋め直すのでは遅い。案件の単価と体制が決まった後では、限界利益はほぼ確定しているからだ。
アサインメントデザイン™とは、受注前に体制と限界利益を設計する営みである。CATCAREERが提唱する手法で、誰をどの案件にどう組めば成果と利益が出るかを、案件が走り出す前にシミュレーションする。空いた人を埋める運用ではなく、案件に対して勝てる布陣と採算を先に握る。限界利益を案件単位で見る計算と落とし穴は限界利益とは。プロジェクト型組織で案件採算に使う計算と落とし穴に整理した。
採算設計とは、プロジェクト型組織が案件ごとの利益を受注前に設計する考え方である。利益が生まれるアサインを受注前に行うこと——それが採算設計だ。リソースを埋める発想からアサインを設計する発想への転換が、稼働は埋まるのに利益が出ない構造を抜ける本筋になる。考え方の全体像は採算設計とは。プロジェクト型組織が受注前に利益を作る新カテゴリにまとめた。
それを実装した採算設計クラウドが『CATCAREERアサインメント』(特許出願済)だ。立っているのは、案件がまだ受注されていない提案・営業フェーズ。受注後の在庫を可視化するリソース管理ツールが、届かない場所である。
FAQ
リソース管理とは何ですか?
リソース管理とは、誰がどれだけ空いているかを把握し、空き工数を案件に割り当てて稼働の偏りをなくす発想です。管理対象は人の空き時間で、成功指標は稼働率や空き工数の平準化になります。在庫としての人員を可視化して埋める運用であり、案件ごとにいくら利益が残るかは管理の対象に含まれません。
アサイン管理とは何ですか?
アサイン管理とは、誰をどの案件にどう組めば成果と利益が出るかを設計する発想です。管理対象は案件と人の組み合わせで、成功指標は案件の成功確率と限界利益になります。空きを埋めることではなく、案件に対して勝てる布陣を選ぶ意思決定そのものを指し、利益はこの設計の側から生まれます。
リソース管理とアサイン管理はどちらで利益が出ますか?
利益はアサイン管理の側から生まれます。リソース管理は空き工数を埋める発想なので、稼働は埋まっても薄利の案件に人を入れれば利益は残りません。アサイン管理は案件の成果と利益から人を設計するため、同じ人員でも組み合わせを変えて限界利益を最大化できます。両者は管理対象が違うので、どちらか一方では完結しません。
リソース管理ツールを入れれば配置の最適化はできますか?
リソース管理ツールは誰がいつ空くかを可視化する在庫管理の道具で、利益が出る組み合わせを解く道具ではありません。配置を原価と限界利益に接続する・勝てる布陣を選ぶ・受注前に採算を試算する、の三つはツールが在庫を見せるだけでは埋まりません。ツールは空きを見せる箱で、何を最大化するかを決めるのは経営の設計です。
リソース管理だけで運用すると何が起きますか?
空き工数を埋めることが目的化し、稼働率は上がるのに利益が伸びない状態に着地します。空いた人を手近な案件に入れる判断を繰り返すと、薄利案件に人件費が吸われ、勝てる布陣を組むべき案件に人が足りなくなります。リソースを埋める発想だけでは、稼働は埋まっても利益は生まれません。
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