受注率を上げる方法。営業力より効く案件見立て力とは

受注率を決めるのは、営業の話術や行動量ではない。引き合いの段階で「誰でどう組めば勝てて、利益が残るか」を見立てる力だ。当てずっぽうに全件提案するのではなく、勝てる案件を見立てて資源を寄せると、受注率は上がる。

受注率が伸びないとき、多くの会社が向かう先は営業の強化だ。トークを磨き、訪問件数を増やし、提案数を積む。それでも率が上がらないのは、磨く場所が提案の「数」と「うまさ」に寄りすぎているからだ。受注率は、どの案件を追うかを決める手前の判断で大きく動く。

この記事の要点

  • 受注率を決めるのは営業の行動量や話術ではなく、引き合いの段階で勝てて利益が残る案件を見立てる力だ。
  • 受注率は「見立て精度 × 提案の質」で分解でき、見立てで提案先を絞り、絞った先に質を集中させると両方が同時に効く。
  • 行動量で全件提案すると勝てない案件が分母に入り、受注率はむしろ下がりやすい。
  • 安売りで母数を増やすと受注率の見かけは上がるが、限界利益が削れて採算は崩れる。受注率はKPIであって目的ではない。
  • 受注率を上げる本質は、勝てて利益が残る案件を受注前に見立てること、つまり採算設計の一側面だ。

なぜ営業を強化しても受注率が上がらないのか

受注率の停滞に対して、最初に手が伸びるのは営業活動の量と質だ。提案件数を増やせば受注の絶対数は増える。トークを磨けば一件の打率は上がる。どちらも間違いではない。だが受注率という「率」で見ると、効きが鈍る局面が来る。

理由は、受注率の分母が提案件数だからだ。勝てない案件まで提案に乗せると、分母だけが膨らんで率が下がる。行動量を増やすほど、勝率の低い案件が母数に混ざり、一件あたりに割ける準備は薄くなる。薄い準備で挑んだ案件は価格でしか戦えず、値引き合戦に流れる。

受注率を分解すると、効かせどころがはっきりする。

受注率 = 見立て精度 × 提案の質。

見立て精度は、引き合いのうち自社が勝てて利益も残る案件を見極める精度だ。提案の質は、見立てた勝てる案件に準備と体制をどれだけ寄せられるかだ。営業強化の多くは右側の「提案の質」だけを磨く。左側の「見立て精度」を上げないまま提案先を絞らずに走ると、質を寄せる先が分散し、受注率は頭打ちになる。

提案そのものの質をどう上げるかは提案品質を高める方法。優秀な営業ほどやる準備とはで、コンペという需要側で顧客が体制をどう見るかはコンペで勝つ会社は何が違うのか。受注率を上げる視点で扱う。本記事が見るのは、その手前——どの案件に質を寄せるかを決める見立ての側だ。受注率という率そのものをどう作るかに絞る。

行動量で上げるか、案件見立てで上げるか

受注率を上げる打ち手は、大きく二つに分かれる。提案の行動量を増やして受注の絶対数を取りにいくか、勝てる案件を見立てて資源を寄せるか。同じ「受注率を上げたい」でも、母数の作り方から結果まで筋が逆になる。横に並べる。

観点行動量で上げる案件見立てで上げる
母数の作り方引き合いに全件提案して件数を積む勝てて利益が残る案件を選び、提案先を絞る
一件あたりの準備件数に比例して薄くなる絞った分だけ厚く寄せられる
勝率勝てない案件が混ざり平均勝率は下がる見立てた案件の勝率が高い
値引き耐性準備が薄く価格でしか戦えない体制で差をつけ価格を守りやすい
受注後の採算安く受けた案件が混ざり限界利益が薄い利益が残る案件を選んでいるため採算が立つ
営業の疲弊度全件を追って消耗し続ける追う案件を絞り消耗が減る
帰結件数は増えても率と利益が伸び悩む同じリソースで受注率と採算が同時に上がる

行を縦に読むと、分かれ目は一点に集まる。

行動量は分母を膨らませて率を薄め、案件見立ては分母を絞って率と採算を同時に上げる。

ここで言う見立ては、勘で当たりをつけることではない。引き合いを受けた段階で、誰でどう組めばその案件を実現できて、限界利益がいくら残るかを見積もること。勝てるかどうかと、利益が残るかどうかを、同じ判断の中で見ることだ。

受注率という数字が、採算を裏切るとき

受注率を上げるつもりが、会社の利益を削ることがある。安売りだ。

価格を下げれば勝率は上がる。提案件数のうち取れる割合が増えるから、受注率という数字は素直に良くなる。だが受注したのは限界利益の薄い案件だ。受注率の見かけは上がり、現場には採算の合わない案件が積み上がる。受注後は薄い利益の案件を回すために体制が圧迫され、次の引き合いに割く余力まで削られる。

受注率はKPIであって、目的ではない。勝てて利益が残る案件で達成して、はじめて意味を持つ。

だから受注率は、単独で追うと壊れる指標だ。限界利益と重ねて見ないと、安売りで率を作る誘惑から抜けられない。限界利益そのものの考え方と落とし穴は限界利益とは。プロジェクト型組織で案件採算に使う計算と落とし穴に整理した。受注率を追うときは、限界利益を隣に並べて見る必要がある。

利益が出ない案件を提案フェーズで見切る判断は経営者が今すぐ決断すべき「お断りする案件」の採算設計学に書いた。受注率を上げる作業と、利益の出ない案件を断る作業は、同じ見立ての裏表だ。

受注率を上げる本質は、受注前の見立てにある

ここまでをまとめると、受注率を動かす主役は提案の場ではなく、その手前にある。どの案件を追い、どこに資源を寄せるかを決める見立ての段階だ。提案先を絞り、勝てて利益が残る案件に準備と体制を集中させる。これができれば、受注率も採算も同じ判断で上がる。

しかも、勝てる案件を見立てる作業は、利益が残るかを見積もる作業と切り離せない。誰をどのグレードで何人当てるかを引き合いの段階で置いてみれば、その布陣で勝てそうかと、その布陣でいくら残るかが、同時に見える。受注率を上げる見立てと、採算を確かめる見立ては、別々の作業ではない。

この「受注前に勝てて利益が残る案件を見立て、体制を組む」営みを、当社は アサインメントデザイン™ と呼ぶ。アサインメントデザイン™とは、受注前に体制と限界利益を設計する手法だ。案件の完了形からバックキャストして布陣を組み、勝てるかと残るかを一つの画面で確かめる。その手法を実装した採算設計クラウドが『CATCAREERアサインメント』だ。対話型のAIタクトが案件参謀役として、配置と採算の試算を引き合いの段階から回す。

そして、その土台にある考え方が採算設計だ。採算設計とは、プロジェクト型組織が案件ごとの利益を受注前に設計する考え方である。受注率はこの採算設計が表に出たKPIの一つにすぎない。商談確度は読めても利益が読めない構造は商談確度は読めても、利益は読めない。パイプラインの手前で抜けている視点に、採算設計というカテゴリの全体像は採算設計とは。プロジェクト型組織が受注前に利益を作る新カテゴリにまとめた。

受注率を上げる会社が違うのは、提案がうまいことでも、件数を多く打つことでもない。引き合いを受けた瞬間に、勝てて利益が残る案件を見分けて、そこへ資源を寄せていることだ。

FAQ

受注率を上げる方法は何ですか?

受注率を上げる方法は、全件に提案して母数を増やすことではなく、勝てて利益が残る案件を引き合いの段階で見立て、そこに資源を寄せることです。受注率は見立て精度と提案の質の掛け算で決まります。勝てる案件を見極めて提案先を絞り、勝てる案件にだけ準備と体制を厚く積むと、同じ営業リソースでも受注率が上がります。

なぜ行動量を増やしても受注率が上がらないのですか?

行動量で提案件数を増やすと、勝てない案件も母数に入るため、受注率の分母が膨らんで率が下がるからです。訪問や提案の数を増やすと受注の絶対数は一時的に増えることがありますが、勝率の低い案件まで追うと一件あたりの準備が薄くなり、値引き合戦に巻き込まれます。受注率は件数ではなく、勝てる案件を見立てて資源を寄せたときに上がります。

受注率はどう分解して考えればよいですか?

受注率は「見立て精度 × 提案の質」で分解できます。見立て精度は、引き合いのうち自社が勝てて利益も残る案件を見極める精度です。提案の質は、見立てた勝てる案件に準備と体制をどれだけ寄せられるかです。どちらか一方を磨いても受注率は頭打ちになり、見立てで提案先を絞り、絞った先に質を集中させると両方が同時に効きます。

安売りで母数を増やすと受注率はどうなりますか?

安売りで受注すると受注率の見かけは上がりますが、採算は崩れます。価格を下げれば勝率は上がるため受注率という数字は良くなりますが、限界利益が削れた案件が増え、受注後の体制も圧迫されます。受注率はKPIであって目的ではなく、勝てて利益が残る案件で達成して初めて意味を持ちます。

案件見立て力と提案力はどう違いますか?

案件見立て力は提案する前にどの案件を追うかを選ぶ力で、提案力は選んだ案件をどう勝ち切るかの力です。提案力は提案の場での勝率を上げますが、追う案件を間違えていれば成果は限られます。案件見立て力は引き合いの段階で勝てて利益が残る案件を選び、資源の配り先を決めるため、受注率と採算の両方を上流で動かします。

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